インタビュー

バドミントンの職人 | 劉強寧—翼を紡ぐパイオニア

“好きでシャトル作りを始めたわけではないのですが、この仕事をとても気に入っています” ‐ シャトルコック職人・劉強寧

 

劉強寧氏は、VICTORシャトルコック作りの第一人者。厳しい表情をしているが、親しくなると、ユーモアのある気さくな人で、ポーカーフェイスでジョークを飛ばすような一面もある。建築デザイナーだった父親の影響で数学に興味を持ち、小学生の頃から建築図面を描き始めたという劉さん。父親の薫陶を受け、大きくなったら建築家になりたいと思っていたが、中学卒業後に中国の文化大革命に遭遇し、スポーツ用品を製造する国営工場での仕事を割り当てられ、 46年のシャトルコック職人としてのキャリアが始まった。「好きでシャトル作りを始めたわけでなく、いわば時代の要請だったわけですが、この仕事をとても気に入っています。」

 

 

シャトル作りは想像するよりも楽ではない。シャトルは業界では珍しく天然素材で出来ているスポーツ用品であり、前工程の原毛採取、洗浄、カット、選別から後工程の製造まで、かなり複雑なプロセスを経ている。1匹の水鳥から取れる羽毛は14本だけで、1個のシャトルには16本の羽毛が必要だ。羽毛が成長する周期も、最終製品のクオリティを決める大事な要素であり、高い技術と優れた素材がなければ、高品質のシャトルは作れない。小さな差が試合の結果を左右することもあり、まさに「ほんの少しの差で、天と地ほどの違い」だ。VICTORは最初、シャトルメーカーとして名が売れたことから、厳しい検査基準を設け、シャトルの重量や羽毛を挿入する角度の試験を繰り返し、精密なデータ管理を用いて品質を確保している。

 

 

劉さんは、その意志の強さで業界におけるシャトル作りの先駆者になった。もともと労働集約的だった手作業中心の現場を半自動化し、さらに完全機械化して画像識別処理装置を開発するまで、いずれも劉さんが手がけ、人件費を大幅に削減して業界に大きく貢献した。VICTORの経営理念である「Lead the Trend」(トレンドをリードする)は、まさに彼の価値観と一致しており、VICTORでより高い目標を達成することに喜びを感じている。「VICTORの目標はグローバル市場でベストブランドになること、チームはそのために努力しており、市場のニーズに合わせて、最先端の技術にチャレンジし、新たな素材を開発している。」厳しい競争にさらされても、決して諦めることなく、しっかりと向き合って研究開発に取り組んでいる。

 

 

研究開発の過程では、他人や自分を超越するだけでなく、公平で相手を尊重するという前提のもとに良性の競争に臨んでこそ進歩がある、と劉さんは信じている。「競争相手がいないと寂しくなる」、と笑いながら言った。普通の人は挫折を恐れるものだが、彼は逆に前進を糧としている。「研究は挫折の繰り返し、挫折はつらいものですが、前進する勇気を与えてくれます。」むしろ挫折を楽しむことで初心に返り、学び続けてブレークスルーへとつなげていく。仕事と趣味を完全に一致させて、シャトル作りをアートの域に高めた劉さんは、根っからのクラフトマンのようだ。

 

 

劉さんはシャトル作りの第一人者であるとともに、VICTOR事業発展のパイオニアでもある。世界一のシャトルを作るという誓いは、今でも変わらない。「VICTORの影響力が、市場で一角を占めるほど大きくなり、私はVICTORと共に成長し、同僚のサポートにも恵まれた。VICTORでの在職期間は長い人生の中で最も輝かしいページです。」