インタビュー

バドミントンの職人 | 鄭興旺—伝統を引き継ぐアーティスト

“欠陥のないラケットを消費者のもとに届けるというのが、消費者に対する私の約束です”‐ベテランラケット職人・鄭興旺

 

VICTORのラケット工場には、数十年間にわたり誰よりも早く出勤してきている働き者がいる。鄭興旺、同僚は親しみを込めて「旺哥」(ワンゴー、旺のおにいさん)と呼ぶ。1981年からVICTORで勤めている超ベテランの初代ラケット職人であり、この30数年間、VICTORがシャトルメーカーとしてスタートし、世界的なバドミントン用品のブランドに成長するまで、ラケットの材質と製造工程の変化を見届けてきた、いわば歴史の証人であり、製造プロセスを知り尽くしたエキスパートでもある。

 

 

VICTORは研究開発を重視しており、新たな素材探しに前向きに取り組み、製造工程を改善しており、ラケット製造においても大きなブレークスルーがあった。昔のラケットはアルミ製であり、熱処理を経て、部品を組み立てて、やっと1本のラケットに仕上げていたが、後にVICTORは炭素繊維の一体化成型ラケットを開発した。軽量化され、弾力性に優れ、ヒビが入りにくい炭素繊維製ラケットは、選手と消費者に新しい体験をもたらし、今ではすっかりポピュラーになった。「新発売のラケットが高く評価され、販売業績も伸びると、とてもうれしい。チーム全員が努力して技術的にレベルアップできたことになり、充実感があります。」VICTORは将来の需要を見込んでデザインしており、時代に合わせて進むとともに、市場に敏感に反応して、消費者のニーズをベースとして技術的な精進を続けてきた。

 

 

1本のラケットできるまでには、いくつもの複雑な工程を経る必要がある。ひとつミスが出ただけで、製品が台無しになることから、製造や試験のプロセスが高度なレベルで管理されている。旺哥は製造工程を熟知しているだけでなく、自分が作る製品に対する強い責任感、VICTORに対する思い入れが、仕事に取り組む姿勢に現れている。「私は細部にまで目をやるほうで、すべての仕事をきちんとやらないと、品質を維持できない。」品質は旺哥の最優先事項であり、一つひとつのステップを注意深くチェックし、不具合を排除、修正し、厳格な基準で管理しており、基準をクリアしたラケットには、出荷の際に品質の裏書きとなるQC(品質管理)の合格スタンプが押される。「欠陥のないラケットを消費者のもとに届けるというのが、消費者に対する私の約束であり、私が会社を代表して保証しているわけです。」

 

研究開発スタッフが戦場の最前線における兵力だとしたら、旺哥のようなクラフトマンはVICTORの作戦能力を向上させる、頼れるバックアップサポーターだ。「繰り返すが、品質がとても大切だ。製品そのものがカギであり、ブランドの“代名詞”にもなる。常にベストの製品を送り出す責任があるんだ。」外部環境がどう変わっても、旺哥は持ち前のこだわりとタフさで仕事に臨んでおり、いささかも衰えることないVICTORに対するモチベーションと求心力、責任感ある態度は社員の模範となっている。「VICTORで長く勤めており、仲間とは家族のように接している。より多くの人がチームに加わり、自分のスキルを伝承して、世界一のラケット作りに全員で取り組んでいきたい。」

 

 

すべての人にVICTORのラケットを使ってほしい、と心から願っている。これが旺哥の誇りであり、最大の目標だ。自分の作ったラケットを使い、微笑んでいる人を見るのが一番嬉しいですね。」VICTOR在職中の1万日以上もの間、約束を守り続け、品質管理を天職として、何事にもベストを尽くしてきた。旺哥のQC合格スタンプは、ラケットの品質チェックの印にとどまらず、自分の人生に対する最も意義ある誇りとなっているようだ。