豆知識

バドミントンでよく見られるスポーツ傷害:テニス肘(上)

王 さんは午前9時から午後5時まで働く一般のサラリーマンで、普段から退勤後にはサークル活動で同僚たちとバドミントンで熱戦を繰り広げています。ある日のこと、彼は激しいゲームをした翌日の朝に右腕の肘の外側から前腕にかけて痛みを感じ、前腕部が痺れるような感覚で力が入らなく、ペットボトルを持つことすら辛い状態になりました。彼は、前日の激しいプレーが原因だろうから何日か休めば良くなるだろうと思っていました。

しかし、3日経っても腕は一向に良くならないので、病院で受診しました。診察と理学療法の検査の結果、王さんは所謂「テニス肘」を患っていたのです….

「テニス肘」って何?

「テニス肘」(Tennis Elbow)とは、医学名称で「上腕骨外側上顆炎」(lateral epicondylitis)といい、上腕筋の起点(肘部分)を過剰使用する事により腱と骨の接合部分が繰り返し擦れ合って損傷し、炎症が起こるとういう病状です。

テニス肘が発症する部分:肘の腱と骨の接合部分

テニス肘は、テニス選手や愛好者の間で特によく見られる傷害なので、名前の由来となりました。実際日常生活の中で、重いものを持ったり引っ張ったり手首をねじる動作をしている人たちも同じ病気に属します。バドミントンやゴルフ、料理、物を拭く動作などは同様にテニス肘を発症します。テニスやバドミントン選手では発症率が10~15%:一般人では3%近く35~50歳の人がテニス肘を発症しています。.


間違ったバックハンドはテニス肘になる原因

バックハンドはバドミントンプレーでかなり頻繁に行われるストロークの一つで、ネット前のロビングやスマッシュのディフェンシブバック、コートすれすれで行うドロップでは、よくバックハンドを使います。しかし、間違ったバックハンドの姿勢でプレーをするとテニス肘の最大の原因を引き起こします。

バックハンドストロークをするときは、まず身体を後ろ側に引き寄せて、スイングの時の遠心力を使って「ストレートアーム」の瞬間ショットをします。(下図参考)

ショットの瞬間、ラケットの面とシャトルの先は強力な衝撃を生み出し、この衝撃力はラケットを持っている手から手首、腕に伝わります。この時、肘はしっかり真っ直ぐ伸びているので、衝撃に耐えられなくなって肘をわずかに損傷してしまいます。このような負担が続けて積み重ねられると、筋肉疲労や筋力不足、最後には炎症を起こしてしまうことになります。これが一般的な「テニス肘」といいます。

しかし、「バックハンドが必ずテニス肘を引き起こしている」とは限りません。正しいバックハンドホームは重心移動することによって衝撃力を減少させて身体の回転を利用します。

これ以外にプロ選手は身体をできる限りに前方に向けてショットを打ちます。これはアマチュア選手の時によく無視される点です。なぜならショットポイントと身体の平行性は、身体を後方に向けてショットするとき「身体が前方でのショットポイント」より肘の傷害を引き起こすほうがはるかに大きいからです!

 

 

バックハンドのとき、力を加える方法が間違っていたら「テニス肘」を引き起こす

テニス肘の症状

テニス肘は痛みが徐々に進行していきます。はじめは、肘の外側に痛みを伴い、炎症が更に酷くなると痛みが前腕の方に広がっていきます。肘の外側の痛みがはっきりしている「痛い部分」を強く押してみると鋭い痛みを感じます。このような症状のある人が「腕を大きく曲げて伸ばす」動作をすると更に痛みは増します。

痛み以外によく見られる症状は、握る力が顕著に衰えていき、物を取ることが困難になります。

 

テニス肘が現れた時の処置方法

初期のテニス肘は、早めの治療によって90%の確率で回復できます。急性期(痛み出してからの三日間)は確実に休んで下さい。手首をなるべく動かさないと同時に力を入れないようにし、アイスパックを痛み止めに使います。

アイスパックの使用法 

  • ナイロン袋に氷と水(1:1の割合)を入れると、簡単なアイスパックになる。
  • アイスパックを15~20分間、患部に当てておく。
  • アイスパックは3~4時間間隔で使用する。

もし、アイスパックの温度が低いと感じたときは軽度の凍傷になっているかもしれないので、直ちにアイスパックの使用をやめて、アイスパックケースの中に多めに水を入れるか、アイスパックの外側に薄目のタオルを巻いて引き続き患部に当てると良いでしょう。

注意!急性期にホットパックやお湯を使用すると、患部がもっと炎症を起こすことになるのでくれぐれも使用しないで下さい。もしも急性期の痛みのせいで睡眠が取れないときは、専門の医師か理学療法士の指示を仰ぎましょう。医師の同意を得れば薬の服用か、局部のステロイド注射をして痛みを和らげる事も可能です。

痛みが回復に向かっている時(赤み、腫れ、熱い、痛いなどの症状がなければ)、ホットパックを使用して損害組織の治療として血液循環を促進します。一般的に症状が現れてから適正な処置をすると、2週間以内に回復に向かいます。

 

 

School of Physical Therapy Chung Shan Medical University - Bachelor
School of Graduate Institute of Physical Therapy, College of Medicine, National Taiwan University - Master & PhD student
The 21st Summer Deaflympics, Taipei, 2009 - Physical Therapist of Chinese Taipei
2009-now Chinese Taipei Korfball Team - Physical Therapist
2010-2012 Jen-Teh Junior College Medicine, Nursing and Management - Instructor
The 2013 World Games -- Physical Therapist of Chinese Taipei
Li-Kong Ortho clinic - Physical Therapist
Writter:
Hsu Chih-Chung
 
 
( Edit by VICTOR Badminton )